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2020年3月31日

若者支援の「手段」としてのプログラミング② – 実践事例とその効果測定


 

事例紹介1:地域若者サポートステーション
興味があってもやる機会がなかった若者たちに好評

 

事務局の山本賢司から、若者TECH講座をもっとも多く開催している地域若者サポートステーション(通称:サポステ)の事例が紹介されました。若者TECHは、サポステで開催する各種講座の一つとして位置付けられています。
ほとんどの若者は「プログラミングに興味はあるけれど、やったことがない」という状態。遊びながらゲーム的にチャレンジでき、かつプラグラミング思考の一端に触れることができる若者TECHは好評で、達成感を得ながら、自信をつけていると紹介しました。

事例紹介2:少年院
「自分もゲームを作る側にもなれる」という発想を持てた

 
少年院での事例も山本の紹介です。少年院では、さまざまな方法で若者TECHを取り入れていますが、インターネット環境は使えないので、なくてもできるコンテンツを開催しています。プログラミングについていろいろと伝えることよりも、それぞれの事情を考慮して、「考えて行うこと」「あきらめないこと」を目標にすることを重視していると言います。
ゲーム作りにはまっている少年に、「自分がゲームを作る側になれるかもしれないんだよ」と言うと、目を輝かせていたのが印象的だったと、山本は語りました。

事例紹介3:定時制高校
ソーシャルスキルトレーニングの授業として実施

 

育て上げネットのスタッフ、下田麻衣子さんは、埼玉県より受託した高校生自立支援事業の一環として、若者TECHを定時制高校で実施しています。こちらは、ソーシャルスキルトレーニング(社会に出て必要となる力を養う訓練)の授業として行われたそうです。

その結果、「やったことがないことはこわくて挑戦できない」「困ったことを相談できない」といった高校生たちに、このプログラムは効果があると実感したと言います。「少し不安があってもやってみる」「何が問題かを考える」というアンケート項目に、約8割の生徒が「成長した」と答えたのです。

授業を見た先生の約7割もこの効果を実感。噂を聞いたほかの定時制高校でも実施を予定しているそうです。

事例紹介4:ジョブトレIT
自分の向き・不向きを知るためのプログラム


 
ジョブトレITとは、育て上げネットが実施している4カ月のプログラムです。ExcelVBAを使ってシステム開発を学び、次に、実際の仕事をシミュレーションします。スタッフが客となって要望を出し、チームでそれにこたえていくわけです。最後の仕上げはIT企業でインターン。この3段階のステップで進みます。

スタッフの平松さんは、「このプログラムは、プログラマー養成ではなく、自分が何に向いているか、特性を知るために行われます」と言います。仕事シミュレーションで、受講生がチームをつくると、プログラミングにバリバリ取り組む人、事務的なことを担う人、進捗管理を買って出る人などが自然と生まれます。つまり、一人ひとりの特性に合わせて、役割がだんだん分かれてくる……ここがポイントです。こうして、自分の向き・不向きを知っていくことが、プログラムの目的なのです。

平松さんは、ITを使った若者支援は「PCと仲間がいればすぐにできること」が大きな利点だと語ってくれました。

ジョブトレITの効果測定
若者の成長を定量化したデータとして測定

 
このジョブトレITを評価分析したのが、アクセンチュア株式会社 シニアマネージャー村重慎一郎さんです。一般社団法人次世代教育・産官学民連携機構(CIE)の一員として、報告してくれました。
効果測定は、CIEの「次世代型人材の定義」に基づいたルーブリック評価(学習到達度の評価手法)をベースに、8項目について、受講1カ月目と3カ月目を比較しました。

最初は評価が低いけれど、伸び率が大きいものとして「発信」「シナジー創出」「自分事化」などがあげられます。これは現場の支援者としても納得できるもので、平松さんも「経験したことがなかったので“自分は意外とできるんだ”と発見できたのではないか」と感じています。

また、自分での評価は低いのに支援者からの評価は高かったものとして、「失敗を恐れない姿勢」「持続的自己管理」などがあげられます。こちらについて、村重さんは、「自分では社会的な視点で客観的に見られない指標であり、支援者からのフィードバックがより重要になるのではないか」と考えています。

いずれにしても、ジョブトレITの経験が、若者の成長に効果的なことが、定量化したデータにも表れていました。「今後のプログラム設計や評価設計に役立てたい」と平松さん。効果を測定することの意義も語ってくれました。


 

ジョブトレIT生の受け入れ企業
つまずいてしまった若者を支援する仕組みを作りたい

 
ジョブトレIT受講者のインターンを積極的に受け入れてくれる会社が、株式会社クオンツ。
同社は、営業支援ツールの導入支援、カスタマイズを行っている会社です。代表取締役の高橋文明さんが登壇しました。

高橋さんは、ジョブトレITを高く評価。IT分野では、学び続けていくことが不可欠ですが、その点、ジョブトレITの受講生は学ぶモチベーションの高い人が多いと感じているそうです。
「仕事をシミュレーションするなかで“ありがとう。助かった”という、いいフィードバックをもらうことで、成功体験を得ているのではないでしょうか」

自身も激務によって仕事をやめざるを得なかった経験を持つ高橋さんは、「自分と同じようにつまずいてしまった若者を支援する枠組みを作りたい」と語ってくれました。